男性もブライダルチェックを受けるべきなのか

ブライダルチェック ホルモン

そろそろ結婚を考えています。彼女からブライダルチェックを受けて欲しいと言われたのですが、男でもブライダルチェックは必要ですか。

そうですね。ブライダルチェックは女性が受けるものだと思われがちですが、実は女性だけではなく、男性にもぜひ受けていただきたい大切な検査なんですよ。

ブライダルチェックとは

ブライダルチェックとは、結婚やお子さんを考えた時に行う健康チェックのことを指します。検査内容は主にクラミジア、淋菌、マイコプラズマ、トリコモナス、HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒などの性病の検査を中心に、精液検査、ホルモン値検査などをセットにしてブライダルチェックとしている医療機関が多いようです。

男性にも必要なブライダルチェック

ブライダルチェックのうち、性感染症は自覚症状が出ないことも珍しくなく、知らないうちに相手に感染させてしまう恐れがあります。性病の検査は通常の健康診断の項目には含まれていませんので、女性だけではなく、男性も一緒に調べておく事が大切です。また、泌尿器科や不妊症外来のブライダルチェックには精液検査が含まれているところもあります。日本産婦人科学会によると、不妊の原因は男性側に理由がある場合と、女性側に理由がある割合は半々だと言われています。精液検査も普段は受けることのない検査ですので、結婚やお子さんを考えたタイミングがある時に受けてみることをお勧めします。

男性ブライダルチェックの内容

それでは一般的に男性に行われているブライダルチェックについて説明していきます。

淋菌

性行為によって感染し、排尿時の痛みや膿みを伴う尿道炎などを起こします。一般的にクラミジアより症状が強い傾向があります。放置すると菌が体の奥まで入り込んでしまい、精巣に炎症をきたし、不妊の原因となる場合があります。検査方法は尿検査で、尿の中に淋菌がいないかPCR検査(遺伝子の核酸を調べる検査)をします。

クラミジア

性行為によって感染し、排尿時の痛みを伴う尿道炎などを起こします。一般的に淋菌より症状が軽い傾向がありますが、楽観視してはいけません。放置すると菌が体の奥まで入り込んでしまい、精巣に炎症をきたし、不妊の原因となる場合があります。検査方法は尿検査で、尿の中にクラミジアの菌がいないかPCR検査(遺伝子の核酸を調べる検査)をします。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

淋菌やクラミジアの検査をしても「陰性」にもかかわらず、排尿時痛などの症状が続いているという場合にはマイコプラズマやウレアプラズマに感染している場合があります。こちらも性行為によって感染し、不妊の原因となる場合がありますので、放置することはとても危険です。検査方法は尿検査です。

トリコモナス

性行為によって感染し、感染すると尿道炎や性器の痒みなどが起こる事がありますが、無症状で経過することも多いのです。自然治癒することはありませんので、しっかりと抗寄生虫薬で治療する事が必要です。検査方法は尿検査です。

梅毒

血液検査(採血)で調べます。性行為によって感染し、近年感染者が急増している感染症です。男性は初期症状として亀頭や陰茎、冠状溝に硬いしこりができますが、痛みや痒みを伴わないため、見逃してしまう可能性があります。現在は確立された治療法がありますので、早期治療で完治が可能です。

HIV

血液検査で調べます。感染経路は性行為や血液感染です。感染しても初期にはほとんどのケースで症状がなく、自覚がないまま何年も過ぎてしまう恐れがあります。現在のところ完治の薬はありませんが、抗HIV薬でウイルスの増殖を遅らせる事が可能ですので、早期発見・早期治療が大切です。

B型肝炎

血液検査で調べます。感染経路は性行為や血液感染です。肝臓を攻撃するウイルス感染症であり、倦怠感や食欲不振から始まり、肝機能障害、肝硬変、肝臓がんと症状が進行してしまう恐れもあります。そのため、早期発見・早期治療が非常に大切です。

C型肝炎

血液検査で調べます。感染経路は性行為や血液感染です。肝臓を攻撃するウイルス感染症であり、肝硬変、肝臓がんと症状が進行してしまう恐れがあります。C型肝炎ウイルスに感染しても約30%の方は体の中からウイルスが自然に排除されます。一方で約70%の方はウイルスが排除されずに体に残ってしまいますので、早期発見・早期治療が非常に大切です。

風疹抗体検査

血液検査で調べます。風疹に対する抗体の有無や量を調べる検査です。パートナーが妊娠中に感染すると赤ちゃんに先天性風疹症候群を引き起こす恐れがあります。先天性風疹症候群とは「先天性心疾患」「難聴」「白内障」などが赤ちゃんに現れることを言います。パートナーに感染させないためにもご自身の抗体の有無を調べ、もし抗体がないようでしたらワクチン接種をしておくことをお勧めします。

ホルモン検査

血液検査で調べます。精子を形成するためのホルモンの値に異常がないかを調べます。
主に脳下垂体からと精巣から出るホルモンを調べ、具体的にはLH/FSH/テストステロンを調べるところが多いです。

FSH

FSHは卵胞刺激ホルモンとも呼ばれ、脳下垂体から分泌されます。精巣での精子の成熟を促進します。

LH

LHは黄体形成ホルモンとも呼ばれ、脳下垂体から分泌されます。精巣で男性ホルモンであるアンドロゲンの産生を刺激します。

テストステロン

テストステロンは男性ホルモンであるアンドロゲンの一種です。精巣で作られ精子の形成と成熟に重要な役割を果たしています。また、精神の安定を保つ、集中力や記憶力を向上させる働きなどもあります。精巣がない女性は副腎から出る「副腎アンドロゲン」の作用によって精神の安定を保ったり、記憶力を保っています。

精液検査

pH

精液のpHは通常7.2から8.0の間にあります。酸性の精液は精子の運動性や生存率を低下させてしまう可能性があります。一方でアルカリ性の精液は精子の運動性を向上させます。

濃度

精液濃度は精液中の精子の数を1mlあたりの単位で表します。正常値は1600万/ml 以上とされています。値が低い場合には精巣の機能障害、ホルモンの異常、精管の閉塞、感染症などが考えられます。

正常形態率

精液中の精子のうち、正常な形態を持つ精子の割合を示す指標です。正常値は4%以上と言われています。精子の形態が異常である場合、受精能力や生存率が低下する可能性があります。

運動率

精液中の動きや運動能力などを評価します。すべての精子のうち、運動している精子の割合を観察し、正常値は42%以上と言われています。運動しているといっても精子がその場に留まっていたり、螺旋状に動いているだけの場合もありますので、自然妊娠を望まれる場合には運動率が55%以上あることが望ましいと言われています。運動率の低下の原因には精巣の機能障害、ホルモンの異常、精管の閉塞、感染症などが考えられます。

ブライダルチェックの金額

ブライダルチェックの金額は検査の内容によって、また医療機関によって様々です。検査を受ける前にそれぞれのクリニックに問い合わせてみるのが良いでしょう。
一般的にはブライダルチェックの金額は一人3万円から5万円で受診できるところが多いです。

まとめ

ブライダルチェックは、結婚やお子さんを考えたタイミングだけにかかわらず、性病が心配な方や、精液について一度検査してみたいと思われている方など、どなたにも受けていただくことができます。ぜひ一度受けてみてはいかがでしょうか。当院でのブライダルチェックは男性・女性ともに基本セット(クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナス、B型肝炎、C型肝炎、HIV、風疹抗体、梅毒、ホルモン検査)が29,800円(税込)、男性で精液検査をご希望の方には基本セットに精液検査をプラスして39,800円(税込)で受けていただくことができます。

⬇︎YouTubeでも解説させていただきました⬇︎

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