男性不妊検査はどこで受ければいいの?

男性不妊検査

不妊とは、避妊を行わずに性交渉を持っているにもかかわらず、約1年の間、妊娠しないことを言います。WHO(世界保健機関)による統計では、世界中のカップルの約15%が不妊症を抱えており、その原因は男性、女性ともに半々だとされています。本日は不妊症の中でも、特に男性不妊について、その原因や検査、またどこで検査を受けられるかなど説明させていただきます。

男性不妊の原因

男性不妊の原因は大きく分けて、「造精機能障害」「性機能障害」「精路通過障害」の3つに分けられます。

造精機能障害

造精機能障害は男性不妊の中の約8割を占めると言われています。造精機能障害とはその名の通り、精子を作る過程で、何らかの障害が起こっている状態です。その結果、乏精子症(精子の濃度が低下する)、無精子症(精子がいない)、精子無力症(精子の運動率が低下する)状態が起こります。

この原因としては、精子形成に関係するホルモンの異常、精索静脈瘤(精巣の周りの血管にコブができ、精巣の温度上昇が起きて、精子が作られにくくなる事)、染色体異常(クラインフェルター症候群)、性感染症などが挙げられます。

性機能障害

性機能障害とは勃起しない、射精できない状態を言います。この原因は糖尿病、動脈硬化症、高血圧症などの血液循環や神経の問題も一因となりますが、一番多いのは心因的な要因と言われています。
妊娠に関しての心理的なプレッシャーを取り除き、必要に応じてバイアグラなどの薬の力を借りて、勃起障害を改善する事で、徐々に自信がつき、自然と症状の改善が見られることも多いです。

精路通過障害

精巣(睾丸)で精子が作られているにも関わらず、何らかの原因で精子が外に出てこられなくなる状態を言います。精液中には精嚢液や前立腺液がほとんどで、精子はわずかしか含まれていません。つまり、射精は問題なくできるのですが、その中に精子が含まれていない状態という訳です。

男性不妊の検査

男性不妊の検査は主に「精液検査」「ホルモン値検査」となります。
精液検査は男性の生殖能力を評価する為に精液の中の精子を顕微鏡レベルで調べる検査です。医療機関あるいは自宅で精液を採取し、採取後はすぐに検査する事が大切です。時間が経過すると精液中の精子の状態が悪くなり、正確な値が出ない可能性があります。
また、ホルモン値検査は、精子形成に必要な脳下垂体前葉や精巣からのホルモンが正常に分泌されているかを調べます。

精液検査

pH

精液のpHは通常7.2から8.0の間にあります。酸性の精液は精子の運動性や生存率を低下させる可能性があります。一方でアルカリ性の精液は精子の運動性を向上させます。

濃度

精液濃度は精液中の精子の数を1mlあたりの単位で表します。正常値は1600万/ml 以上とされています。値が低い場合には精巣の機能障害、ホルモンの異常、精管の閉塞、感染などが考えられます。

正常形態率

精液中の精子のうち、正常な形態を持つ精子の割合を示す指標です。正常値は4%以上と言われています。精子の形態が異常である場合、受精能力や生存率が低下する可能性があります。

運動率

精液中の動きや運動能力などを評価します。すべての精子のうち、運動している精子の割合を観察し、正常値は42%以上と言われています。運動しているといっても精子がその場に留まっていたり、螺旋状に動いているだけの場合もありますので、自然妊娠を望まれる場合には運動率が55%以上あることが望ましいとも言われています。運動率の低下の原因には精巣の機能障害、ホルモンの異常、精管の閉塞、感染などが考えられます。

ホルモン値検査

LH

LHは黄体形成ホルモンとも呼ばれ、脳下垂体前葉から分泌されます。LHは精巣の間質にあるライディッヒ細胞に働きかけ、男性ホルモンであるアンドロゲンの合成を促進します。精巣から分泌されるアンドロゲンのうち、約90%が次に説明するテストステロンです。

テストステロン

テストステロンは男性ホルモンであるアンドロゲンの一種です。精巣で作られ、精子の形成と成熟に重要な役割を果たしています。

FSH

FSHは卵胞刺激ホルモンとも呼ばれ、脳下垂体前葉から分泌されます。アンドロゲンと共に精巣の精細管のセルトリ細胞に作用し、精子形成を促進します。

男性不妊の治療

男性不妊の治療はその原因によって多岐に渡り、生活習慣の改善や、内服治療、外科的治療など様々です。その結果、不妊が改善されることもありますし、改善されない場合は人工授精などの方法が選択されます。

男性不妊の検査はどこで受ければいいの?

男性不妊の検査は泌尿器科や不妊症外来で受けられます。また、ブライダルチェックとして男性不妊の原因となる性感染症の検査、ホルモン値の検査、精液検査をセットにして行っている泌尿器科も多いですね。自分に男性不妊がないかを確認するためには、「まずは泌尿器科でブライダルチェックを受け、万が一、何か異常があったら不妊症外来を受診する」という順番でも十分だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。男性不妊の検査には、精液検査、採血によるホルモン値検査が大切です。女性の不妊検査は性周期に合わせて数回の検査が必要となりますが、男性の場合は一度の検査で結果が分かりますので、気負わずに受けてみてはいかがでしょうか。

当院ではブライダルチェックを行なっております。男性・女性ともに基本セット(クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナス、B型肝炎、C型肝炎、HIV、風疹抗体、梅毒、ホルモン検査)が29,800円(税込)、男性で精液検査をご希望の方には基本セットに精液検査をプラスして39,800円(税込)で受けていただくことができます。

⬇︎YouTubeでも解説させていただきました⬇︎

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